『この世界の片隅に』(2016)

こうの史代さんといえば、『夕凪の街 桜の国』の
原作漫画とその実写化映画が大好きで
感動のあまり、一時期
繰り返し繰り返し、見ていたものだった。

太平洋戦争末期の広島を舞台にしたアニメーション映画が
日本映画専門チャンネルにて昨晩、
放送されていたので鑑賞。

主人公は18歳のすず。絵を描くのが得意だ。縁談が舞い込み、
広島から軍港・呉の北條家へお嫁に行く。
海軍に文官として勤める優しい夫、周作とその両親。
義姉の径子はちょっと意地悪なのだが、
可愛らしい娘の晴美がいて、こちらはすずを慕うようになる。

物資の配給がどんどん厳しくなってくるなか、
近所の主婦から聞いたり、研究したりしながら、
野草の調理法や、少ない米を増量させる(?)炊き方など

すずは工夫と実践を重ねながら、

笑いあり、ハラハラありの暮らしを送ってゆく。

しかし戦争の影は次第に迫り、
呉の街にも空襲警報が繰り返され、爆撃や機銃掃射に
さらされてゆくことになり・・・!

主人公すずの声のトーンと柔らかな広島弁が心地よい。
製作に当たって実際の当時の天候を再現したという
背景描写も美しく、そんななかでせっせと働くすずの姿に
ありきたりながら、便利になった現在の暮らしとの対比を思う。

ぽーっとしたキャラクターの少女が、この時代に揉まれ、
厳しい試練を乗り越えて、強く成長する姿が描かれるのだが

家族の生活の場であるはずの家に、屋根を突き破って
落ちてくる焼夷弾
街では時限式の爆弾が炸裂する。
そして8月6日午前8時15分の描写、・・・と
胸の痛む場面に、なにげない普通の日々を
送ってゆけることが
いかに大切で幸せか、強く感じさせられる映画。

f:id:mamochan_again:20180319231102j:plain

http://konosekai.jp/