バルセロナ・独立問題に揺れるガウディの街
城塞都市カルカッソンヌを出発し、向かった先は
スペインのバルセロナ。
フランスからの国境を越えて、少し走ったところの
パーキングエリアでトイレ休憩。
売店で働く若者たちと挨拶を交わせば、
スペインに入ったことが実感できる。
休憩を終え、陽も落ちて暗くなった空の下を
再びバスは動き出すのだが、
今回この旅、はじめての渋滞でクルマの流れが悪い。
理由を聞いてみれば、なんとデモが起きていて
その影響だという。
渋滞はバルセロナ市内まで断続的に続き、
市内に入ってみると、ホテルに向かうルートが
要所要所、警察車両によって封鎖されていて、
バスは予定外の遠回りを食わされる。
業を煮やしたイタリア人のドライバーさんが、
バスを停めて運転席から降り、
道路を封鎖する警官隊と直接談判する一幕もあった。
なぜこんな騒ぎになったのか。それには、
バルセロナを含むスペイン北東部カタルーニャが、
紀元前から、独自性を保ちつつ辿ってきた歴史が
大きく関係している。
前回書いたカルカッソンヌ同様、
周辺諸国の勢力が興隆と衰退を繰り返すたび
不安定な状況を経験してきたこの地域。
時代が流れ、スペインのひとつの州となって
組み込まれてみれば、豊富な観光資源もあり
スペイン国内総生産の20パーセントを占める豊かな州となった。
税収の少ない他の州との、分配格差も起きてくるわけである。
今回の旅でバルセロナには二泊したのだが、その二泊とも、
まさに同じ市内で起きている騒動の現実を
テレビはトップニュースで伝えていた。
積み重ねたバイクが燃やされたり、
警官隊に向けて火炎ビンが飛んでいたり。
同じ市内で同じ瞬間に、『いま、そこにある独立問題』を
感じさせられた印象深い体験となった。
バルセロナに着いた晩の夕食はパエリア。
素材の醸し出す味が、しっかり出ていてとても美味しい。
手長海老と、そうでない海老の二種類が使われており、
これも美味しさの秘訣なのかなと、印象的だった。
食事を終えて、店を出る。
ライトアップされ夜空に聳えるサグラダファミリアの姿が
印象的であったことは、言うまでもない。